中間会合は、各分野の専門家からなるワーキンググループ(WG)が政策提言するセッションと、各国の商工会が投資環境の改善要望点を発表するセッションからなる。WGによるセッションでは、国際統合やインダストリー4.0といった国際環境の変化への対応と、ベトナム政府の政策と行政の実効性改善という今後のベトナムの成長にとって重要性が高い2つのテーマについて話し合われた。
■越政府「人材育成に協力を」
国際環境の変化への対応に関するセッションは、ベトナム日本商工会(JBAV)の相良博英氏(丸紅ベトナム)がモデレーターを務めた。各WGは、米国抜きの環太平洋連携協定(TPP)推進や人件費高騰に備えたオートメーション化、再生エネルギー推進に向けた「直接電力購入契約」の活用、電力小売価格のロードマップ公開などを提案した。電力小売価格について商工省の代表者は「センシティブな問題」としつつ、財務省と協議するとした。
またWGが提案した高度人材の育成については、ベトナム政府は、「職業訓練などの分野に投資してほしい」と協力を呼び掛けた。自動車分野では、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内における乗用車の関税が撤廃される2018年以降に備え、業界と政府との対話強化が要望されると、商工省側も賛意を示した。
■通関・税務の裁量行政是正を
政策と行政の実効性改善に関するセッションは、JBAVの舩山徹氏(ベトナム三菱商事)がモデレーターを務め、法令の条文と運用の乖離(かいり)という従来からある課題への対処が焦点となった。この問題でJBAVは、首相府の機能強化による一元的な苦情処理体制の構築や、日本の制度を参考にした法令適用に係る事前確認手続きの充実を提案している。
各WGからは、投資認可手続きの簡素化や外国人による住宅購入時の土地使用権利書の迅速な発行、外国人駐在員の社会保険への任意加入の維持などについて要望が上がった。また残業時間の上限緩和についてベトナム側は、「労働法の改正を検討中」と回答した。労働法の改正は先月開幕した国会で審議される予定だったが提出が先送りされている。
税務のWGは、ホーチミン日本商工会(JBAH)の小野瀬貴久氏(EYベトナム)が、通関でのHSコード(品目コード)の統一的な適用、税関・税務局職員の裁量による課税の是正を求めた。ベトナム政府は、法令の統一的な運用へ「職員のトレーニングが必要」と前向きな回答で応じた。
■副首相「地場企業との連携を」
VBFはベトナムの投資環境改善について政府と対話する組織として1997年に設立された。年2回の会合には首相などが出席し、外資にとって貴重な政策提言の場だが、従来は欧米勢が主導し、日本は2015年度に正会員に加盟した後発組だ。
ベトナム商工会議所(VCCI)との共同議長国の役割は持ち回りで巡ってきたが、「ソフト面での日本の貢献強化を」(相良氏)との思いで、議題設定や多国籍・多文化の各国商工会・WGとの合意形成に奔走してきた。ベトナム政府と良好な関係にあり、存在感もある日本企業の精力的な動きは、各国からも評価されているようだ。
中間会合にはグエン・スアン・フック首相の出席は見送られたものの、マクロ経済を所管するブオン・ディン・フエ副首相が参加した。フエ副首相は、「いろいろな意見に感謝する」としつつ、「外資と地場企業をリンクさせたい」との意向を表明し、両者の連携強化により、ベトナム経済がより高付加価値な産業モデルを築けるような政策提言を促した。
フエ副首相の発言には、外資に対してベトナム政府が漠然と抱く警戒感もにじむが、舩山氏は「年末の会合に向けて前向きに捉えている」としており、ベトナム側にとってもメリットがより分かりやすい政策提言の形成に取り組んでいく考えだ。
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