英調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、ベトナムのアイスクリーム市場は2016年に2兆6,198億ドンに達し、11年の1兆3,025億ドンの2倍に拡大した。さらに、17年には前年比15.8%増の3兆329億ドンに拡大し、その後も年11%前後の成長を続け、21年には4兆5,963億ドンに達すると予測されている。
ロッテベトナムの山田暁大社長は、「アイス市場は、欧州や北米、日本などの先進国のみならず、南米や新興国においても持続的な成長がみられ、世界中で今後も拡大が期待される」と指摘。ベトナムもそのうちの一つに含まれる。「日本では、モナカタイプやサンドタイプ、氷菓、いろいろな味を楽しめるマルチパックなどの商品も人気だが、ベトナムでは他の東南アジア諸国と同様に、片手で食べられるスティックタイプやコーンタイプが人気」という。
■地場キドが首位堅持
16年のベトナムのアイス市場における企業別シェアをみると、地場食品大手キド・グループ(KIDO、旧キンドー)が34.6%で首位を堅持している。2位のユニリーバのシェアは10.3%で、首位のキドに大差をつけられているものの、11〜14年の7%台から拡大。一方、3位のベトナムの老舗メーカー、トゥイタ(Thuy Ta)は、11〜15年の10%台から16年には9.7%に縮小した。地元メディアVNエクスプレスによると、同社は1999年にイタリアの技術を導入して、年産能力100万リットルのアイス工場を建設したが、他社との競争激化により、過去5年間のアイスクリーム事業の売上高は500億ドン前後で横ばいが続いているという。
このほか、ホーチミン市を中心に高所得層をターゲットとしたハーゲンダッツや、若年層(中間所得層)に人気のあるバスキン・ロビンス(サーティーワンアイスクリーム)、バッズ・アイスクリームなど米国を中心とした外資系ブランドが相次いで出店している。
■ロッテ現法、輸入販売を検討
ロッテは、日本貿易振興機構(ジェトロ)が16年11月にホーチミン市の日系小売店で実施した「ジャパンフェア」で、ロッテアイスが日本で生産した「雪見だいふく」とパウチ容器入りの「クーリッシュ」をテスト販売した。現在は一部店舗のみの販売にとどまっているが、ロッテベトナムがアイス販売の許可を取得したことから、17年10月以降にこれら2品の輸入・販売を検討しており、準備を進めているという。
ロッテベトナムの山田社長は、売り場の広いスーパーマーケットでは、低価格帯から高価格帯のアイスを幅広くそろえているが、最も売れる価格帯は1万〜2万ドンとした上で、「韓国からの輸入品はその1.5〜2倍、日本からの輸入品は2〜3倍程度になってしまうため、日本のメーカーがベトナムのアイス市場に参入するためには、いかにして価格競争力を持てるかが今後のポイントとなる」と指摘する。
「現状では、現地生産しない限り価格面で地場企業の牙城を崩すのは困難」としながらも、「欧州・北米で高級路線の付加価値商品が市場をけん引しているのと同様に、アジアでも14年を境に量的な成長から質的な成長への転換期にきている。外資系企業では、当面輸入を中心とした事業展開が予想されるが、ロッテベトナムとしては、日本のロッテアイスが世界に誇る品質や商品の特性、コンセプトを武器に商品価値を訴求していきたい」と意欲を示している。雪見だいふくでは、「丸みを帯びた形状で食感がもちもちしている」という独創性(オリジナリティー)、クーリッシュでは、スタイリッシュに片手で手を汚さずに楽しめる「飲むアイス」という新たなコンセプトが売りになるという。
ベトナムのアイス市場では、今後も地場企業による事業拡大や外資系企業の参入が続くと見込まれ、競争が一層激化すると予測される。
\8,712(税込) 国内でのシェア70%超というベトナム最大のビールメーカー:サイゴンブリューワリーのNo.1人気商品。フランスの醸造技術が導入されているので、しゃれた飲み口は、刺激的な味付けの多い東南アジアの料理には大変よく合う。泡立ちが良く、ほのかなスパイシーな味わいが特長。… | |



