ベトナムのインフラ構築最前線で見た中韓の台頭 「日本は技術力で優位」思い込みはNG N02
質でも迫りつつある中韓勢
アジアへのインフラ輸出は日中韓が激しい競争を繰り広げている。これまでは今回のような難しい案件を、高い技術力を持った日本勢が受注し、中韓勢はコストの安さを武器に攻勢をかけるという構図だった。しかし日本のライバル達も当然のことながら成長している。清水建設の北直紀常務執行役員国際支店長は「中韓でも一部の企業の技術力は非常に高くなっている。いつまでも日本勢が品質で優位な位置にいられると思い込んではいけない」と警戒心を隠さない。
ベトナム内の他のプロジェクトを見てみる。都市鉄道1号線の他に、ベトナムを縦断する南北高速道路案件が平行して進んでいる。同じく清水建設はその中で全長2763mのビンカイン橋建設工事を受注している。これも川の中に橋の支柱を建てなければならない難工事だが、円借款の案件ということもあり中韓勢との競争はない。一方、ビンカイン橋に隣接するアジア開発銀行(ADB)案件の区間はコスト面で優位性のある韓国企業が軒並み受注しているというのが実情だ。
高品質なインフラは寿命も長くメンテナンスにかかる費用も抑えられるため長期的に見ると経済的ではあるが、それは時間が経たないと見えづらい。どうしても目先のコストが優先されてしまいがちになるのもまた事実。そこで多くの場数を踏んだ一部の中韓企業が技術力をつけるのは自然な流れだろう。日本企業の大きな課題はこうして技術力も高まっている中韓勢にどう対抗するかだ。出来上がるインフラに対して環境面などでさらに付加価値をつけるのか、中韓勢に引けを取らないようコストを削減するのか。対応を迫られる時期がそう遠くない将来にやって来る。
ジャングルにショッピングモール
自由時間の間にホーチミン市内を少し見て回ることにした。バイクに乗せてもらっていると、ちょうど国道に沿って建設中の鉄道路線があったので、しばらく沿線を走ってもらうことにした。「ベトナムのスコールは降り始めてからドシャ降りになるまで5秒くらいしかない」と運転してくれた現地の日本人の方に忠告を受けていたが、半信半疑で聞いていたため雨具を身に付けずにいた。その後見事に降られ、革靴がお釈迦になった。ホーチミンの中心部からほんの十数分走ると、高層ビルがひしめく様は姿を消し、住宅すらあまりない。周りを見渡せばひたすら木々が生い茂っており、まるでジャングルのよう、というよりむしろジャングルである。
異様だったのが、駅の予定地らしき場所の周囲にだけマンションやショッピングモールが建設されていたことだ。将来の需要を見越し、先回りで開発が進んでいるということだろうが、それにしてもジャングルの中にショッピングモールが突如現れるのは違和感を覚えた。おそらく他の駅の予定地でも同じような状況になっているのだろう。沿線の土地は価格が何倍にも膨れ上がっているという。今後のベトナムの成長のポテンシャルを見て、やはりそれを日本の企業が担ってほしいと感じた。


